村上春樹とノーベル賞

2016年の文学賞は、ボブ・デュランに決定したが、彼は沈黙している。

受賞がふさわしいかどうか、受賞を辞退するかどうかが関心の的だ。

一方で、村上春樹がまたも取り逃がしたことだが、それは当然だと思う。

専門的にいろいろ研究している人がいるだろうから、ここではシロートの乱暴な意見である。

あるときからまったく彼の小説世界に入り込めなくなってしまった。

その理由は、他の(祖国を捨てた作家も含めた)ノーベル賞作家の作品との違いだったような気もする。

彼の小説には、母国がない。その土地に宿る記憶がない。血のつながった親がいない。

だからこそ、彼の作品は翻訳され、世界中の故郷喪失者=都市生活者に行き渡ったのだろうが。

賛否両論のあるボブ・デュランの背後には、星条旗がはためいている。


 「金持ちなんて・みんな・糞くらえさ。」

 鼠はカウンターに両手をついたまま僕に向かって憂鬱そうにどなった。

                       ─風の歌を聴け─より


この作品を彼は翻訳許可していないそうだ。本当だろうか。



ほぼ千日ぶりの更新。パチン。